カナダ・バンクーバーで、ヨガのトレーニングトレーナーとして活動後、クンダリーニというジャンルのヨガを日本で指導する第一人者として、数多くのスタジオやイベントで活躍するMaiko Kurata氏と、DJ・ダンサー・モデル・スタジオオーナーなど、多彩な顔ぶれを持つパフォーマー Satoshi Miya氏によるユニット『YOGA FOR EVERY BODY』。
長きにわたり、”誰もが楽しめるYOGA”をコンセプトに、ヨガを通して「自分らしく生きていく事の素晴らしさ」を多くの人々にシェアし続ける二人が、ユーズドヨガマットを回収し、アップサイクルさせたものづくりプロジェクト『satanama』を始動させた。
二人が日常的に愛用する道具を、新しい形に生まれ変わらせ発信する意図、またその活動を通して見据えるビジョンとは?
お話を伺った。
■まずsatanamaは、他にもメンバーがいらっしゃいますが、お二人がこれまで培って来られたプロジェクト『YOGA FOR EVERY BODY』の中の『satanama』という認識で良いですか?
MAIKO:
そうですね。
元の発想は、YOGA FOR EVERY BODYとして、マグや手ぬぐいなど、エコをメッセージにしたグッズを作る中で、「じゃあもっと深い形でエコやろうよ」と話してたんですよね。
MIYA:
はい。そこで、ヨガマットを別の価値としてプロダクト化するにあたり限界があったので、友人であり多才なデザイナーのノンタンに相談したところ、後にチームに加わってくれました。
■ユーズドのヨガマットを回収・再利用し、ものづくりを始めようと思ったきっかけは?
MIYA :
これまで、自分がオーナーを務めるヨガスタジオのマットを何度か入れ替えしているのですが、その際に古いマットを大量に捨てなきゃいけなくて。
自治体によっては、可燃とか不燃で捨て方がまちまちだったり、そもそもずっと大事に使ってきたマットが、まとまって大量のゴミになるという光景に結構インパクトがあって。
「これ何とかならないもんかね」ってずっと話してたんですよね。
MAIKO :
自分がずっと練習してきたマットをすぐ捨てちゃうのって、なんかすごくさみしいし、私も昔から自分で穴が開くまで使ったマットを、「このまま捨てるのやだなぁ」って切り抜いてキーホルダーにしたりしてたんですよ。
それ考えると、ただ捨てるのではなく、もうちょっと自分達の何かになったらいいよなっていうのがあって。
MIYA :
ネットで調べると、ユーズドヨガマットの再利用方法って、様々出てくるんですが、僕としてはしっくりくるものがなくて。
自分たちで何か形にしたいなぁって漠然と思ってたんですが、具体的な行動に移せないまま時間が経ってしまって。。。
MAIKO :
そんな中、ちょうどコロナで暇になったんですよ。
MIYA :
緊急事態宣言が出て、経営しているスタジオは、レンタルも主催のヨガプログラムも全てクローズを余儀なくされて。
僕はDJやダンスもしていますが、クラブやライブハウス、他にも携わっていたイベントも全てなくなって、スケジュール表、ゼロになったんですよ。笑
全部白紙になっちゃって、家でどうしようって考えてた時に、主宰のヨガプログラムやスタジオ運営は、オンライン化を勧めましたが、ふとユーズドヨガマットについて「今なら時間あるし出来るかも」と思って、ノンタンに相談したら「それ面白いですね」って言ってくれて、本格的にスタートしました。
■サンダルを作ろうという発想に行き着いたのは?
MIYA :
それは、マットを使って何を作ろうか?という会話の中で、ノンタンの「足で踏んできたものだから、足で踏んだらいいんじゃないですか」って一言からですね。
ヨガマットは元々、怪我をしないために使う物なので、クッション性が高く、足の踏み心地が良いんですよね。
■プロジェクトネームの ”satanama” は、ヨガで使われる言葉なんですよね?
MAIKO :
はい。
私が専門としているクンダリーニというスタイルのヨガでは、「チャンティング」という同じ言葉を唱えながら動くことがあるんですね。
チャンティングは、主に賞賛とか、平和を願う意味の言葉が多いのですが、その中の一つに”satanama”という言葉があるんです。
その言葉全体の意味としては、NEW BEGINNING(新しい始まり)。
“sa” がBORN(産まれる)、”ta”がLIFE(今の人生)、 “na”がDEATH(死)、”ma”がREBORN(再生)。
これは”輪廻転成”を意味しているのですが、このプロジェクトも廃棄されるマットを新しいものに変えるという部分で、ちょうどいいよね!ってなったんですよね。笑
MIYA :
そうそう。笑
YOGA FOR EVERY BODYとして、ヨガを広めていくという部分で、例えば街のどこかで僕らのサンダルや植木鉢を目にした人が、 “satanama”ってなんだろう?ってなった時に、ヨガに興味を持ってもらえるきっかけの一つにもなるかなと思いました。
このプロダクツを通して、「ヨガに触れたことない人にも、ヨガを届ける事が出来る!」ってなりましたね。
■サンダルや植木鉢、様々なものづくりをする上で、ヨガマットの特性を活かした部分はありますか?
MAIKO :
サンダルは、踏み心地が気持ちいいという部分では、素材が活きてると思いますが、それよりこの植木鉢に関しては、実はもっと素材の特性が全開で活かされているんです。
植物が育つ時、根っこがプラスチックに当たるよりも柔らかい物に当たった方がいいよっていうのと、ヨガマットがすごく水分を吸う素材なので、含んだ状態で徐々に水をあげれるっていうので、植物がすごく良く育つんですよね。
特性が活かされているという点では、植木鉢は自信を持って「マットの特性がフル回転しています!」って言えると思います。
あと、特性を活かすとは少しずれるかもしれないけど、植木鉢は比較的簡単に作れるので、よくイベントなどでワークショップを開くんですね。
ただ物として渡すだけじゃなく、最終作る方法を私達が提供して、「何なら自分のマットでも作れますよ」って。
MIYA :
そうした面で、YOGA FOR EVERY BODY全体としての可能性も広がっていると思いますね。
この活動を知って、マットを提供してくれる方達も、割と僕らと思ってる事が近くて、自分が大事に使ってきた物が、新し形に変わる事に喜びを感じているというか、同じ様な感覚を持っていると感じます。
■なるほど。そういった部分では、”ヨガ”と”アップサイクル”の考え方って、どこかでリンクしているのでしょうか?
MAIKO :
してると思う。
それこそ、サーファーの人達が、海を大切に思ってビーチクリーンをしてる感覚にも近いと思うのですが、ヨガってマットの上ですることだけがヨガじゃなくて、「日常生活全てがヨガですよ」という考え方や哲学があるんです。
その中に、「非暴力」とか、「全てのものに優しくしましょう」ってのがあって、それを守ると日常生活がもっと良くなりますよとか、鍛錬されますよという哲学なんですね。
で、全てのものに優しくしましょうってなると、「地球環境にも優しくしましょう」という概念が入ってくるから、ただ捨てるんじゃなく、もっと地球に優しい事しようよって。
多分、ただ捨てるとか、物が増えていく「ファストファッションOK!」といった概念が削ぎ落とされるんですよね、ヨガやってると。
もっともっとっていうよりは、いやこれで充分だよねって。
そうなってくると、一個のマットを大事に大事に使い続けて、さすがにもうダメだなってなった時は、それだけマットへの想いや愛着が強くなってる。
だから「捨てるよりも、他に何か出来ないかな?」という感覚になるんでしょうね。
それらも含め、日本全体ではまだまだ少ないけど、マイボトルやエコバッグを使ってる人は、私の生徒さん達にも多いし、ヨガをやってる人はエコやサスティナブルに対する感度が高いなというのをすごく感じますね。
【後編に続く】
【 MAIKO KURATA 】
2001 年に渡加、それをきっかけに日本とカナダを行き来する中でヨガに出会う。
バンクーバー” Semperviva Yoga Studio にて 500H Teacher training を修了、同スタジオにてトレーニングトレーナーとして活動。 2012 年より拠点を日本に移し、インストラクター養成にも多く携わる。
自身の師である Gloria Latham の通訳&Co-teacher としてカナダ、ギリシャ、バリなど国内外のトレーニング、ワークショップに 参加、『Kundaliniawakening yoga』を日本で指導している第一人者。
現在 DJ Satoshi Miya 共に “ヨガと音楽” のコラボクラスを軸にヨガイベント、音楽フェスなどにも多数参加。
プロジェクト “YOGA FOR EVERY BODY” を通じて『誰もが楽しめる YOGA、自分らしく生きていく事の素晴らしさ』をシェアしている。
・Semperviva Yoga College 500H Teacher Training 修了
・Gloria Latham 200H Kundalini Teacher Training 修了
・Seane Corn Vinyasa Teacher Training 修了
・Max Strom Intensive Teacher Training 修了
・Bernie Clark Yin yoga Teacher Training 修了
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【 SATOSHI MIYA 】
ダンサー、DJ、ヨギ、モデル、代官山の BRIGHTON Studio のオーナーなど様々な顔を持つマルチプレーヤー。
DANCER としては、ロンドン発祥の BE BOP style を伝統を重んじ、新しさを融合させたスタイルを提案 するダンスユニット BROKEN SPORT のメンバーとして国内外多くのアーティストとの コラボレーションを重ねる。
2014 年 ダンサーとして異例の DVD 映像作品『5 SPORT CLOUD ” B” 』を発表。全国発売を遂とげる。
DJ としては全国 CLUB イベントを中心に様々な場面に登場。
Semperviva yoga との出会い から培った音楽知識を基に様々な Yoga class の Live DJ や選曲 を国内、海外で担当。
韓国 Korea YOGA MARATHON 2016 , 日本武道館 YOGA JAPAN 2017 ではオフィシャル DJ に起用される。
また「何気ない日常をより豊かで、快適にそしてドキドキやワクワクを」を 掲げ「生活を豊かにする多目的スペース」 BRIGHTON Studio DAIKANYAMA オーナーとして空間を提供する傍ら、自身のスタジオをベースに様々なイベント企画運営を手がけ発信を続けている。
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【 YOGA FOR EVERY BODY 】
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■Interview & Photo
by YOSHIWO NISHIMURA
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