島根県江津市にある「キリスト教愛真高等学校」は僕の母校。
15歳、親元を離れ山の中で過ごした3年間の寮生活。
TV、携帯、インターネット、漫画、一切の便利な情報ツールから離れ、自然の中で仲間達と共に汗をかき、多くを学んだ日々がいかに貴重であったか。
社会に出て、家庭を持ち、自分達の子供の将来を考える様になった今、改めて心に問いかける機会が多くなりました。
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この学校では、「人は何のために生きるか」をテーマに、田植え、稲刈り、養鶏、製パン、菜園。様々な作業を通して食べるものは自分達で作り、育てます。
学校の課題や決まり事は、生徒と職員全員で議論し考えます。
毎日の礼拝、音楽の授業、寮の部屋から。校内にはギターやピアノの音と、生徒達の歌う声が絶えず響き渡っています。
SDGsとかサスティナブルとか、ちょっと難しいワードが流行し始めるもっとずっと前から、ここでは地球環境や人権問題など、教科を超えた学びを大切にしていて、生徒は皆、自分達の生活を通してそれら問題について考え、向き合います。
そしてそれら教育は、30年近く経った今も変わる事なく世代を越え、同じ場所で発信され続けています。
これは在学中の生徒たちが地球のことを考え、自分達が使用した食油を原料に作った廃油石けん「Hi,You! SOAP」。
別に綺麗な色じゃないし、良い香りがするわけでもない。パッケージも自分達が飲んだ牛乳パックで出来てる。
でもこの歪な四角い固体には、巷のそれらとは比べられないシンプルで本質的な想いがぎっしりと詰まっていて。。。
この石けんを手にした瞬間、当たり前の事なのに忘れかけていたとても大切な感覚を思い出した気がします。
そんな第二の故郷で、自分達の暮らしを整えるために作られている資源循環の結晶は今、同じ高校時代の友人が営むセレクトショップ Sparrows で、世界中のプロダクツと共に陳列され、日々の生活をより豊かにしたいと訪れる多くの人々の手元に届いている。
そういうストーリーもまた、ますますこの心を熱くさせるのです。
■Text by YOSHIWO NISHIMURA
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